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〈あつめる〉愉しみ コレクターのこころ
子どもは何かを〈あつめる〉のが大好きです。あなたは子ども時代に何を集めていたでしょうか?好きなものが少しずつ増えていき、それらに囲まれていくことは、何ともいえない秘密めいた愉しさがあるものです。現在、美術館や有名オークションで私たちが目にすることのできる中国陶磁のコレクションも、こうした愉しみを経て大事に守られてきた小世界の結晶の一つといえます。
中国陶磁の蒐集は、帝国主義が全盛期を迎えた19世紀末に花開きました。西欧の貴族や成功した資本家たちは先を争うように中国陶磁を求め、瀟洒な家を飾り立てたものです。こうした中で頭角を現し、両大戦期にまたがって活躍した著名な蒐集家が、スイスのアルフレッド・バウアー(1865-1951)、イギリスのパーシヴァル・ディヴィッド(1892-1964)、そして今回ご紹介するスウェーデンのカール・ケンプ(1884-1967)です。
カール・ケンプ(Dr. Carl Kempe)は、スウェーデンの製紙会社の息子として生まれました。1917年にはCEOの座を父親から受け継ぎ、綿密な調査と開発のもとに莫大な投資をして、会社を近代的な化学工業へと発展させて大成功をおさめます。また、ケンプは1912年にストックホルムで開催された夏季オリンピックにおいて、テニスプレイヤーとして銀メダルを獲得しています。このように公私ともに名声を獲得したケンプが、もう一つ生涯をかけて熱中したのが中国陶磁でした。
西洋人愛好家は多彩陶磁に魅せられるのが通常ですが、ケンプは単色の陶磁器に傾倒していきます。特に「甘美な白(sweet white)」と称される白磁は、こっくりとして滑らかな肌触りと上品で縁起の良い風合いがあり、ケンプを夢中にさせます。ケンプが白磁を集め始めたのは1930年前後ですが、その頃は白磁自体がほとんど知られていなかったため、市場にもめったに出ませんでした。ケンプの白磁コレクションは、晋(265-316)から清(1644-1912)王朝にまで及ぶ、壮大な時間の中から選ばれた逸品ばかりです。また、ケンプの青磁・黄磁のコレクションには、どれも独特の可愛らしさとユーモアがあり、小品の中にも知性と品性がきらりと光っていて、こちらも見逃せません。彼は研究・展覧会のために惜しみなく貸出を行っており、重要な貢献をしています。
〈あつめる〉愉しさを知り尽くしていたケンプ。彼のコレクションは、今でも彼の愛情に包まれているかのように、私たちにあたたかなぬくもりを与えてくれます。コレクターとしてのケンプと、コレクターとしてのあなたが出会うことで、また新たなコレクションが誕生するかもしれません。小さなものを〈あつめる〉ことで自分だけの世界を構築していく喜びは、子どものころに感じた胸の高鳴りをきっと思い出させてくれるでしょう。ケンプのコレクションは、そのような純粋さに満ちた光溢れるコレクションなのです。
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