平野古陶軒 京橋

八十五年のあゆみ

人の世が流れても、美術品には時を超えた本質が宿っています。 人の価値観が変わっても、美術品は揺るぎない美をたたえています。 その素晴らしさに魅せられた私たち平野古陶軒は、美術品を持つことの喜びを三代にわたって皆さまにお伝えしてきました。


平野古陶軒の歴史

明治43年に生まれた創業者平野龍治は、学業を終えるとまもなく古美術の世界に足を踏み入れました。大阪の地で平野古陶軒が開業したのは、昭和11年2月26日という二・二六事件の当日。まさに嵐の中での船出でした。 しかし、戦争の困難にあっても、私たちの美術品に対する思いは変わりませんでした。その深い愛情が、国内では出光美術館の中国美術コレクション、大阪市立東洋陶磁美術館の高麗・李朝陶磁コレクション、国外ではボストン美術館、シカゴ美術館、サンフランシスコアジア美術館など、世界中の多くの蒐集家たちに認められていきます。

昭和46年には東京支店を設け、2代目平野龍夫によって本格的に海外に進出しました。ニューヨーク、ロンドン、香港を中心とし、サザビーズやクリスティーズといった海外オークション会社と積極的な取引を展開します。また、海外の多くの研究者との意見交換は、それまで日本国内に限られていた学識を大きく広げたことでしょう。その豊かな知識は、顧客の方々のご満足に現在でも結びついています。 昭和63年には創業50周年を迎え、それまで扱ってきた数多くの名品の中から選りすぐりの101点を集録した『古陶軒撰華』を出版いたしました。

そして、現在。平野古陶軒は平成19年に東京・京橋に本店を移し、3代目平野龍一によって新しいあゆみを始めています。確かに受け継がれてきた古き良き伝統と、現代への鋭いまなざしによって選ばれる数々の美術品は、皆さまに新たな喜びをもたらすことをお約束いたします。

長い時を経た美術品は、「今」という時間、「ここ」という場所に存在する必然性を持っているのです。変化のめまぐるしい現代社会において、不変的で普遍的な美術品の存在意義(レーゾン・デートル)は、人の心と暮らしを豊かに包みこむものです。これを皆さまにお届けすることが私たち平野古陶軒の使命であり、何よりも大きな喜びであるのです。

平野古陶軒 西天満

平野龍治によって、出光興産の創業者出光佐三に最後に納められた仙崖義梵「鶴は千年 亀は万年 我は天年」。 現在は公益財団法人出光美術館に収蔵されています

平野古陶軒 西天満

昭和30年頃(大阪市北区西天満)

主な収蔵先

(国内)
出光美術館、大阪市立東洋陶磁美術館、京都国立博物館、白鶴美術館、泉屋博古館、大阪市立美術館、天理参考館、愛知県陶磁美術館、滴翠美術館、逸翁美術館、香雪美術館、黒川古文化研究所、たましん歴史博物館、出羽桜美術館

(海外)
Victoria and Albert Museum, Musee Guimet, Freer Gallery of Art, Museum of fine Art, Boston, The Art Institute of Chicago, The Asian Art Museum of Sanfrancisco, Saint Louis Art Museum